雨のち晴れ
足音が近づいてきた

部屋の扉が開き

「あぁ疲れたーただいま」
と声がした


そこにいたのは和也だった


「あれ?お父さん、七時過ぎに帰ってくるんじゃなかったの?」


春菜は慌てる


「いやー仕事が早く片づいてね。あぁ先生、来てたんですか。夕飯食べていってくださいね」


和也は自分の誕生日だということを忘れているようだ


テーブルに置いてあるご馳走を見て

「あれ、今日は豪華だね。誰かの誕生日みたいじゃないか」


そう言った後、和也ははっとした顔をして

「誰かの誕生日って…もしかして俺?」


春菜と橘のほうをみた


「お父さん、帰ってくるの早いよ。あと30分待ってくれる?」


「あぁわかったわかった」
和也は慌てていたが少し嬉しそうだった


「じゃあ、和也さん。向こうの部屋で待っててもらえますか」

橘も声をかけた
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