雨のち晴れ

｢何言ってるんだ。大事な娘を心配しない親なんていないんだぞ｣

｢ありがとう｣

春菜は安心したのか本当に嬉しそうだった

｢ねぇ、お父さん。私、今日ここまでバスで来たの。バスに乗った瞬間、みんなに見られてるような気持ちになってすごく怖くなって気持ち悪くなった…久しぶりなのもあると思うけど。でさぁ、あまりにも苦しくなったから座り込んじゃって。その時、一人の女の人が声をかけてくれたの。大丈夫？って。私、嬉しかったなぁ。お父さんや先生のように、ちゃんと見てくれてる人はいるんだね。見知らぬ人でも。私はいつからか、決めつけていたのかもしれない。世の中、冷たい人ばっかなんだって。でも、ちがうのかもね｣
春菜は優しい顔をして和也に言った

｢そうだよ。優しい人はたくさんいるよ。春菜のようにね｣

｢私なんか、優しくないよ。でも優しい人になりたいな。優しい人になるためには、誰かと触れ合っていかなきゃダメなんだね｣

春菜は微笑んだ