雨のち晴れ
今度は違う足音が春菜に近づいてきた


橘だ


「よく頑張ったね。でも強がることなんてないよ。泣きたいときは泣きなさい」

橘がそう言った瞬間

春菜のため込んでいた物がゆっくりとほどけた


春菜は声を出して泣いた

そんな春菜を橘は優しく抱き寄せた
春菜はそんな橘の優しさが
単純に嬉しかった

そして
久しぶりの人の温もりに

とても安心したのだった
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