雨のち晴れ
和也は言葉を失った

ただ
ただ


「春菜、春菜」

と言いながら泣き崩れた

「和也さん。でも
春菜さんはあなたを責めたりなんてしてないと思いますよ。」

「…」

「なぜなら、春菜さんはあなたに悲しい顔をして欲しくないからと、お父さんには言わないでと僕に言ったからです」


「先生、今からでも遅くないでしょうか?」

和也は橘に問う


「遅くないです。春菜さんはきっと待っています。彼女は…ずっとあなたに気ずいて欲しかった。でも、あなたの悲しい顔は見たくないからと言えなかった。そんな矛盾と…何年も一人で戦ってきたんです。早く彼女に会いにいってあげて下さい」
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