雨のち晴れ
そんな春菜の両手を橘は握りしめた

「わかるわけねえだろ。言わなきゃ。言ってくれなきゃ。周りが幸せになれるなら、自分が我慢すればいいとか…そんな考え方はもうやめなさい。今言うんだ。お父さんに、何があったかを。言いたいことあるだろ?今までこの狭い部屋の中で、孤独と戦おうと思えた勇気があるなら、お父さんにつらかったこと全部言える勇気だってもってるはずだよ。今いっちゃおう。ほら、勇気を出して」

橘は春菜の手を離し、今度は春菜の肩をそっと後押しした
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