-悪魔が紡ぐ恋の唄-
「待って、待ってってば!!」
あまりにもしつこいので、
希蒼はめんどくさく思いつつ
振り向く。
そして言った。
「何です??
僕、急いでるんです」
学園で習った対応の
仕方だ。
「対人間対応マニュアル」
総600ページにも及ぶ
その本の内容を、
希蒼はすべて
覚えていた。
嫌われて、友達も
いなかった希蒼は
学生時代勉強に
明け暮れていたのだ。
しかし覚えていたおかげで
今、こうして
役にたった。
そんな風に優越感に
浸っていると、
人間が口を開いた。
「えっと…ごめんなさい。
でも、そこ怪我
してるから……」