ラブレター
「また俺の顔じっと見てたから」

「いや…もうクラスの人の名前覚えてるんだなと思って」

と言うと、思いっきり吹き出した。
そして読書を始めた

*****

今日は電車に間に合った。

「ねぇ、もしかして俺の名前もしらない?」

「うん」

「即答ですか。さすがにショックだなー。まぁいいけど」

それから喋らなくなってしまった。
なんか変なこと言った?
いや、これは聞いちゃいけないやつだ。

「神崎 翔。覚えといてよ?」

そう言って降りて行った。

*****

「白沢さん、おはよー」

一緒にご飯を食べたあの日以来、木埜さんと岡元さんがよく話しかけてくれるようになった。

「おはよう」

「今日は何読んでるのー?」

私は何も言わず小説の表紙を見せる。

「んにゃ。難しそう。オススメあったら貸してほしいなー」

私は笑顔で頷くと、木埜さんは微笑み返していなくなった。

*****

「白沢さん、今日なんか用事ある?」

放課後、岡元さんが話しかけてきてくれた。

「図書館」

「図書館ってどうしても行かなきゃいけなかったりする?」

「もしあれだったらさ、一緒にメロンパン食べに行かない?有名なメロンパンの屋台が来てるんだよ。もしよかったら行かないかなーと思って。」

「行っても…良いのかな…?」

戸惑って聞いたら、2人とも腹を抱えて笑い出した。

「ダメだったら聞かないし。あーもうお腹痛い」

「行きたい…です」

今まで学校帰りに友達とどこかに寄るとかしたことないから、変に緊張してしまう。

*****

いつも図書館に行く方向とは逆側の電車に乗って、大型ショッピングセンターに着いた。皆でメロンパンを買って、近くのベンチで他愛ない話をしながらメロンパンを食べた。

「このあとどうする?」

「どっか行く?」

「白沢さんは?なんか用事ある?いつものコースなら、どっか行くか、お互いの家に行くか、なんだけど」

*****

そのあと、ショッピングセンターをブラブラして、終電の時間が一番早い木埜さんの終電時間にあわせて解散になった。

「焼きたてのメロンパンの匂い」

後ろから突然話しかけられて私はビックリして振り返った。

「神崎くん」

「良い匂いがする。メロンパン食べに行ってたの?」

そう言うと満足するまで私からする焼きたてのメロンパンの匂いを嗅いでいた。
< 5 / 6 >

この作品をシェア

pagetop