S P E R O
しかし、そんなフェリクスだか、悲しい過去を持っていた。
それは、今からおよそ20年前の事―、フェリクスはまだ3才で幼かった頃の話だった。
村の平和を守る為に、SPEROと刻まれた不思議な銀の玉を毎日命掛けで守っていたのは当時36才だったフェリクスの父親のアレクサンドリアだった。
アレクサンドリアは、SPEROの銀の玉を丈夫な牛革の袋に入れて長い紐を吊し、それをいかなる時も首にかけて毎日肌身離さず持ち歩いていた。
―悲しい出来事が起きたのは、丁度フェリクスの3才のお誕生日祝いを幼馴染みのユリアも家に招いて一緒に祝っていた時の事だった。
夜の午後8時頃、突然村中の明かりが一斉に消えた。