さくらへようこそ
生まれて初めてもらった花束に美桜は嬉しそうである。

「おい、酒屋」

そんな彼女を眺めていたら、工場長が星野の脇腹をつついた。

「な、何ですか?」

星野は逃げ腰になりながら工場長に聞き返した。

「お前、さくらちゃんに気があるんだろ?

茶道の先生にそのさくらちゃんをとられそうになってるぞ」

工場長がコソッと星野に耳打ちした。

「僕、気があるなんて言ってませんよ」

星野はコソッと工場長に耳打ちした。

「美桜ちゃんは、僕の憧れのままでいて欲しいと思っているんです」

そう言った星野に、
「ほーっ」

工場長は首を縦に振ってうなずいた。
< 105 / 167 >

この作品をシェア

pagetop