さくらへようこそ
上野がノゾミを肘でつついた。

「あっ…えっと、初めまして、雨宮希望(アメミヤノゾミ)です」

ノゾミは戸惑いながらも自己紹介をすると、頭を下げた。

「美桜ちゃん」

星野が美桜を促した。

美桜はノゾミに向かって笑いかけると、
「さくらへようこそ!」
と、言った。

「えっ、さくら…?」

訳がわからないと言うように聞き返したノゾミに、
「さくらさんが経営する店の名前なんだ」

安部が教えた。

「実はさ、今日横町のみんなが集まってるのも、さくらさんのお店へ連れてきたのも、全部ノゾミちゃんのためなんだ」

しゃがれた声で上野がノゾミに言った。
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