さくらへようこそ
ノゾミもまた、大変な人生を歩んできたんだと美桜は思った。

「さくらさんを始めとする横町のみんながいるし、俺と上野もいる。

困ったことがあったらみんなに頼ればいいし、つらいことがあったらみんなで分けあえばいい。

横町のみんなは、ノゾミちゃんの家族でもあるんだから」

「かぞ、く…?」

初めて聞いた単語のように聞き返したノゾミに、
「家族だよ!」

上野がノゾミの肩に手を回した。

「バカ!

抜け駆けは禁止だ!」

安部が上野を引き離そうとした。

ギャーギャーとノゾミの取りあいを始めた2人に、
「もう、乾杯するわよ!」

美桜が大きな声で止めた。
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