さくらへようこそ
「おととととっ…!」

倒れそうになる男の躰を工場長とレコード店が支える。

「だから言わんこっちゃない!

酔っぱらってるのにビール1杯なんて飲むから!」

美桜は呆れたと言うように叫ぶと、右手で頭を抱えた。

「ちょっと大丈夫ですか!?

お客さん、ねえ!」

美桜は男の顔を覗き込むと、声をかけた。

「き、気持ち悪い…」

男が呟くように答えた。

「えっ?」

訳がわからないと言う顔をした美桜に、男は右手を口に当てた。

最悪な事態になると予感した。
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