さくらへようこそ
安部は息を吐くと、
「何とでも言えばいい。

まあ、とにかく今すぐ出て行ってくれ。

ここはあんたがくるところじゃない」

ドアを指差し、男に出て行くようにと促した。

「いや、ちょっと待ってくれよ。

俺は『さくら』で働いているって言う女の子を探しにきたんだ」

男は両手を前に出した。

そう言った男に、
「えっ、知り合い?」

「俺、何にも聞いてないぞ」

「どう言うことなんでしょう?」

「何かの間違いじゃねーのか?」

常連客4人組は口々に言い出した。

「とりあえず、先にあんたの名前から名乗ってくれねーか?」

安部が男に言った。
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