さくらへようこそ

「その当時彼女はまだ１０代で、つきあっていた男がいました。

その男は彼女に子供ができたことを知ったとたん、逃げ出したんです」

「最低だな、そいつ。

子供ができたとたんにトンズラだなんて」

安部が毒づくように言った。

「彼女は子供を中絶すべきかどうかと悩みました。

１度は好きになった人の子供を堕ろしたくない――そう思って、彼女は子供を出産して育てる決意をしたそうです。

出産すると言っても、彼女はまだ１０代の子供です。

当然、周りからは反対を受けました。

中には施設へ預けた方がいいんじゃないかと言うひどい意見も出たんだそうです」