さくらへようこそ
達也は美桜に小さく会釈をした後、ティッシュを取った。

チーンと、盛大な音が静かな店内に響いた。

「それでさくらさんに会いにきた、と言う訳ですか?」

そう聞いた安部に、
「ええ、横山さんに彼女が亡くなったことを伝えるためにここへ」

達也が首を縦に振ってうなずいた。

「興信所へ『ニコニコ横町』に“ミオ”と言う名前の女を調べてくれと依頼しました。

そこで“横山美桜”と言う名前の女の子が『さくら』と言うバーで働いていることを知りました」

続けて言った達也に、
「なるほど。

ちなみにですけど、亡くなったその人の遺骨はどうなったんですか?

その人に身内がいたとは思えないのですが…」

安部が質問をした。
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