さくらへようこそ
「ウソでしょ…」

さっきまでの心配していた時間は一体何だったんだと思った。

「さくらちゃん、大丈夫でしたか?」

校長先生を始めとする全員がトイレにやってきた。

「ああ、寝てたみたいです…」

呟くようにそう言った美桜に、
「何だ、寝てたのかよ」

工場長が呆れたと言うように言った。

「それで、この人どうするの?

この様子じゃ目を覚ましそうにないよ?」

不動産屋が男を指差すと言った。

「もちろん、こんな寒い外に出す訳ないじゃないですか」

美桜は言い返した。

だけど、眠っている男の口から家の場所を聞くのは難しいだろう。
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