さくらへようこそ
「輝くんが泥酔して、初めてここにきた時のことを覚えています?」

そう質問してきた校長先生に、
「忘れないと言う方が間違っていると思います」

美桜は答えた。

「その日は、輝くんのお姉さんの命日だったんだそうです」

校長先生がそう言って、美桜は困ったと言うように目を伏せた。

「だからあんなにも、酔っぱらってたんだ…」

(お姉さんが亡くなった悲しみを、酔っぱらって忘れようとしたのかも知れない…)

美桜はそう思うと、切なくなってきた。

お葬式ムードに包まれたしまったこの場に、
「とりあえず」

美桜が声をかけた。
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