さくらへようこそ
料理とお酒が彼の口にあったみたいで、美桜はホッと胸をなで下ろした。

「あの、さくらさん」

安部が肘で美桜を小さくつついてきた。

「この方は一体、何者なんですか?

そもそも、この店は一見さんはお断りと言うシステムじゃなかったんですか?」

ヒソヒソと耳打ちする安部に、
「今朝、いろいろとあったのよ」

美桜は答えた。

「いろいろ、ですか」

「ええ、いろいろよ」

「この日本酒はどこで売っているんですか?

よろしければ、我が家でも取り寄せたいと思っているのですが」

ヒソヒソと会話をする美桜と安部をさえぎるように、大倉が質問を投げてきた。
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