迷いの森の魔女
迷いの森
「は、はぁ…はっ」


人が近寄ることのない森。当たり前ですが舗装された道などなく、ジークは道なき道を歩きます。

鍛えているとはいえ何時間も歩き回れば体力は徐々に磨り減り、あてもなく森に入った自分を呪わしく思わずにはいられませんでした。


「これが最後になるんだから、もう少し話を聞けばよかった。全く、最後の最後で何やってんだか」


ジークは今年で20歳。
死を宣告された時まであと一年もない、正しく言うのならもう1ヶ月とない状況です。
この森に済むという魔女が最後の希望に近いのです。例え噂でしかなくとも、藁にもすがる思いで彼はやって来ました。


「死にたく…ないな、でもこんなとこ来てる時点で自棄っぱちだよな」


誰にともなくつぶやいて、自嘲気味に笑います。
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