迷いの森の魔女
「あ…なたが噂の、…魔女?」


フードから見えるのは毒々しい程赤く濡れた唇だけで、彼女の表情をうかがい知ることはできません。
今更ながら魔女の噂を思い出し、ジークは身を震わせました。


「人を喰らう魔女か。面白い話になったものだ」


どこか愉しげに呟き、フードの女が背を預けた壁から身を離します。反射的に身構えるジークを見やり、女は更に愉快そうに肩を震わせました。


「まぁ道理と言えば道理か」
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