また、キミに逢えたなら。


スッと立ち上がったシロー君は、私の横を通り過ぎて窓辺に立った。


その横顔は何を考えているのかわからなくて、不安になりながらその姿を目で追う。


夕日の中に浮かぶ綺麗な後ろ姿に、こんな時なのに胸がキュンと締め付けられた。



「……負けたよ、莉乃には」



え……?



「そんな真っ直ぐなこと言われたの久しぶり」



そう言ってこっちを振り返ったシロー君は、悲しげな笑顔を浮かべていた。


< 119 / 418 >

この作品をシェア

pagetop