また、キミに逢えたなら。
ダ、ダメだ……。
嬉しくて
恥ずかしくて
ドキドキしすぎておかしくなりそう。
「も、もう……!そんなこと言ったって何も出ないよ?」
ドキドキしてることがバレないように、意識しているのが伝わらないように、なんとか平然を装う。
景色なんてもう目に入らない。
気になるのは左隣のシロー君のことばかり。
「はは、別に何もいらないって」
シロー君は、そんな私のことを見透かしているかのようにクスクス笑う。
その大きくて澄んだ瞳に全部見抜かれていそうで、何を言っても言い訳にしか聞こえない気がして何も言えなかった。
『星月山市立科学館前、星月山市立科学館前。お降りの方はーーーー』
バスが目的地に着いたようだ。