また、キミに逢えたなら。
朦朧(もうろう)とする意識の中、気を保つことだけに集中する。
気を抜くと意識が飛んで行っちゃいそうだ。
「針刺すから、ちょっとチクッとするよ」
突然言われて腕に力が入る。
その直後、鋭い痛みが走った。
「い……った」
ううっ。
「すぐ終わるから、それまでは腕を真っ直ぐにしててね」
なんとか意識を保ちながら小さく頷く。
だけど看護師さんがいなくなった後、緊張の糸が切れたのか突然プツリと意識が途絶えた。
そして
次に目が覚めたのは翌日だった。
ジリリリリリ
ミーンミンミンミン
窓を締め切っているにも関わらず、うるさく響く蝉の声で目が覚めた。
「んー……っ」
真っ白な天井と見慣れない蛍光灯。
あれ……?
どこだっけ、ここ。
明らかに自分の部屋じゃない周りの光景に一瞬だけパニックになる。
だけどすぐに思い出した。
「そっか。私、昨日……」
入院したんだ。
どうやらここは個室のようで。
中にはベッドと床頭台、小さなテーブル、面会者用の物らしきパイプ椅子が置かれていた。