また、キミに逢えたなら。
「好き」、その一言が言えなくて
それから夏休みはあっという間に終わった。
毎日じゃないけど、ほとんどと言っても過言ではないくらい、シロー君の病室に足を運んだ気がする。
出掛けた場所といえばプラネタリウムと温泉くらいだけど、今年の夏はいつもより何倍も充実していた。
「明日から学校かぁ」
「莉乃ちゃん、学校嫌いなんだ?優等生っぽいのに」
ため息交じりに言った声に反応したのは、シロー君の友達の羽生君だった。
羽生君はなんと、前にエレベーターで会ったことがある男の子。
この前病室でバッタリ出くわしたんだ。
羽生君の友達がシロー君だったなんて本当にビックリしたけど、よく来るから私も話すようになって仲良くなった。
羽生君はパイプイスに座りながら、いつものようにシロー君の部屋のテレビを見ている。
「嫌いじゃないけど」
学校が始まると、シロー君に逢える時間が減っちゃうから。