また、キミに逢えたなら。
「それにしてもどんな心境の変化だ?前は生きることを諦めたかのようだったのに、なにが真白君をそう思わせたんだ?」
よく見ると先生の目も充血していた。
患者のことを良く考えて話を聞いてくれる良い先生だ、佐埜先生は。
俺はこの人の人間味溢れるところが好きだった。
「大切な子が……出来たんです」
先のわからない俺なんかのことを、信じてくれた大切な子が。
「そうか。その子の為にも頑張らないとな」
先生はそう言って俺と母さんのことを労ってくれた。
看護師さんに支えられながら何とか立ち上がる。
力が抜けて膝がガクガクした。
「まさか、真白にそんな子がいたなんてビックリだわ」
まだ涙声だったけど、大分落ち着きを取り戻した母さんがポツリと言う。
それを見てホッとした。