また、キミに逢えたなら。
莉乃が信じてくれた奇跡。
すごいな。
本当にドナーが見つかったなんて。
生きている限り奇跡は起こる。
“生きていれば良いことがある”
いつかどこかで聞いたようなセリフも、この時ばかりはそうだと思えた。
生きてさえいれば、必ず良いことはある。
「真白君、本当に良かった……っ」
あの後すぐに駆け付けてくれた佐埜先生は、目覚めた俺を見るなり目に涙を浮かべた。
「気分はどうだい?」
そして、聴診器を胸に当てながら俺の顔にちらりと目をやる。
それはとても優しい眼差しだった。
「まだボーッと……します。体も、動かないし」
痛くて全身が痺れる感じもする。
「ずっと寝たきりだったからな。大丈夫、少しずつリハビリをすればまた動けるようになるから。とにかくこれからは回復することに専念しよう。移植手術も成功したけど、慣れるまでは色々大変だからね」
先生の言葉に小さく頷く。
かろうじて首は動いた。