また、キミに逢えたなら。
必死に病気と闘う小さな体。
助かる命もあれば、助からない命もある。
どんな命もかけがえがなくて尊いもの。
「挿管チューブ」
「はい!」
手渡されたチューブを、カズヤ君の気管へ慎重に挿入する。
呼吸は既に止まっていた。
一分一秒が生死の境目になる。
子どもの気管は、大人と比べると細いし見えにくい。
傷付きやすいこともあって、神経を研ぎ澄ましがら慎重にゆっくりと行う必要がある。
緊張感が増して、額から汗が流れ落ちた。
緊迫した重い空気が漂う。
「頑張れ、カズヤ君!」
そう言いながらカズヤ君の生きる力を信じた。
「入った。呼吸音を確認します!」
チューブが動かないように両手で固定して、両手を使えない俺の代わりに、看護師さんが聴診器を耳に当ててくれるのを待つ。
そして
聴診器の先をカズヤ君の胸に当てるのを確認してからアンビューバッグで送気すると、それに合わせて胸郭が上下した。
聴診器からは呼吸音もしっかり聞こえて、どうやら挿管はうまくいったようだ。
これでひとまずは安心。