また、キミに逢えたなら。


「もしかしたら、運命の相手に出逢うかもしんねーだろ?」



“な?”と必死に俺を頷かせようとする保。



けど俺は。



「求めてないし」



今でも莉乃のことしか頭にない。



「ずっと思ってたけど……お前、今でもまだ莉乃ちゃんのこと」



聞き辛そうに伏せ目がちに保が口を開く。



「好きだよ」



そんな保にはっきり答えた。



「なんでだよ!10年だぞ、10年!それだけ時間が経ったのに……っ、なんで」



苦しそうに顔を歪める保。


莉乃の話をする時はいつもこうだ。


< 377 / 418 >

この作品をシェア

pagetop