また、キミに逢えたなら。


「違う……!シロのせいじゃねぇ!俺がっ、俺が悪いんだ……シロが危篤だって、電話したのは俺なんだ……っだからシロのせいじゃねぇ」



慰めの言葉も今は耳に入らない。


あの時俺が“生きたい”なんて願ったから、そのせいで莉乃は……っ。



もう、息の根が止まりそうだった。



これまで何も知らずにのうのうと生きて来た。


必ずまた逢えるって勝手に思い込んで、確かめることもせずに……。



保に問い詰めれば、もっと早くわかったかもしれないのに。



保の表情を見て、何かあるって気付いていたのに……っ。



10年……っ。


10年間も俺は、莉乃の身に起こったことを知らずに……。


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