また、キミに逢えたなら。
後悔と悲しみ
「あの……」
そんな時、背後から遠慮がちな声が聞こえた。
涙を拭ってゆっくり振り返ると、そこには中年のおじさんとおばさんの姿があった。
おばさんの方は、昔一度だけ目にしたことがある莉乃の母親。
「どちら様?」
目を真ん丸くしながら訊ねるその人は、不思議そうに首を傾げている。
「あ……えと……」
何も言えなくて口ごもる。
「友達です。すみません、いきなり来て」
そんな俺に代わって返事をする保。
合わせる顔がないというのは、まさにこのこと。
視線を下に向けたまま、顔を上げることが出来ない。