また、キミに逢えたなら。
「いいのよ、ありがとね。莉乃も、喜んでいると思うわ」
おばさんがカバンからハンカチを出して、そっと涙を拭うのがわかった。
優しい雰囲気が莉乃にそっくりで、だからこそ胸が締め付けられて苦しい。
「間違ってたらごめんなさいね。もしかして……シロー君じゃないかしら?あの時、病院にいた子よね?」
「この優男がか!?」
体格のいい莉乃の父親らしき男の人が怪訝な声を出す。
その声には、明らかに怒気が含まれていた。
「テメー、よくも俺の娘を……っ」
胸ぐらを掴まれ、思いっきり揺さぶられる。
「あなた!やめて!」
「いえ、いいんです。俺の、せいで……っ莉乃さんは」
ここで涙を見せるのは卑怯だ。
それはわかってる。
だけど、意思とは関係なくどんどん溢れて来る。
必死に歯を食いしばって、流れないように堪えた。
両親の苦しみや悲しみを思うと、後悔の念でいっぱいになった。