また、キミに逢えたなら。


「いいのよ、ありがとね。莉乃も、喜んでいると思うわ」



おばさんがカバンからハンカチを出して、そっと涙を拭うのがわかった。



優しい雰囲気が莉乃にそっくりで、だからこそ胸が締め付けられて苦しい。



「間違ってたらごめんなさいね。もしかして……シロー君じゃないかしら?あの時、病院にいた子よね?」



「この優男がか!?」



体格のいい莉乃の父親らしき男の人が怪訝な声を出す。



その声には、明らかに怒気が含まれていた。



「テメー、よくも俺の娘を……っ」



胸ぐらを掴まれ、思いっきり揺さぶられる。



「あなた!やめて!」



「いえ、いいんです。俺の、せいで……っ莉乃さんは」



ここで涙を見せるのは卑怯だ。


それはわかってる。



だけど、意思とは関係なくどんどん溢れて来る。


必死に歯を食いしばって、流れないように堪えた。



両親の苦しみや悲しみを思うと、後悔の念でいっぱいになった。


< 393 / 418 >

この作品をシェア

pagetop