また、キミに逢えたなら。
「知ったんだね……莉乃のこと」
莉乃の墓石までは少し距離があり、歩き出した瑠璃ちゃんの後を追って歩く。
車に戻る前に、もう一度莉乃に逢いたかった。
ピンクの日記帳を持つ手が、やけに汗ばんで震えている。
「結城君が来てくれて良かった。莉乃も今頃、天国で笑ってると思う」
「…………」
何も言えなかった。
否定も肯定も出来ずに、ただ黙ったまま歩き続ける。
莉乃の墓石の前に着くと、瑠璃ちゃんはしゃがみ込んで合掌し始めた。
その横顔はすごく悲しげで。
家族だけではなく、瑠璃ちゃんまでもを苦しめた自分の不甲斐なさを呪った。
多くの人に愛されて、好かれていた莉乃。
周りの人の人生をも、めちゃくちゃにしてしまったんだ、俺は。
瑠璃ちゃんの隣に立って、莉乃が眠る墓石を見下ろす。
涙が溢れそうになったけど、必死に堪えて我慢した。
「事故に遭った後、莉乃は……救急外来で救命処置を受けたの」
苦し紛れに声を絞り出す瑠璃ちゃんを見て、耳を塞ぎたくなる気持ちに駆られた。
聞きたくない。
余計、罪悪感に苛まれる。