また、キミに逢えたなら。


だけど、ここで逃げたら何も変わらない。


だから、胸に熱いものが込み上げるのを押し殺して耳を傾けた。


救命処置……。


この前、俺がカズヤ君にしたような処置を莉乃も……。



心臓マッサージや、呼吸確保のための気管挿管、事故となると、出血量に応じては輸血を行うこともある。



ほとんどは外来で行うもので、普通の手術とは全然違う命の確保が最優先の処置。



「そのあと、一旦は一命を取り留めて……っ」



だんだん涙声に変わっていく瑠璃ちゃんの顔は、もう見れなかった。



「それでも危険なことに変わりはなくて、いつ急変してもおかしくない状態だった。意識も一瞬だけ戻って……。病院に駆け付けた私やおじさん、おばさんにね……っ」



瑠璃ちゃんはハンカチで涙を拭っていた。


そしてまた口を開く。


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