また、キミに逢えたなら。


「必死に……っ何かを差し出すの。死にそうなくせに、手に持った……っものを、必死に」



“……なんだったと思う?”


鼻をすすりながら、瑠璃ちゃんが俺に問う。


当然ながら、答えはわからなかった。



「ドナーカード、だよ……っ莉乃は、ドナー登録をしてたの……っ。それを、必死になって、差し出すの……っ。バカ、だよね。死にそうなくせに……ほんと、どこまで……人が良すぎるんだか……っ」



「え……」



ドナー、カード……?



「カードのね、どの臓器を提供するか……っ意思を示すところがあるでしょ……っ?」



声にならない声で瑠璃ちゃんが続ける。



新たに知る事実に、また頭が混乱して来る。



「じ、腎臓の、ところにだけ……っ目立つように赤い丸が、してあったの……っ」



ウソだろ……?


まさか、莉乃がドナー登録をしてたなんて。


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