また、キミに逢えたなら。
今回ばかりはお母さんの言う通りだ。
「大体おかしいと思ったのよ、2週間以上も咳と微熱が止まらないなんて。風邪は引き始めが肝心なんだから」
うっ。
弱ってる上にまた説教か。
何回も聞いたよ、そのセリフ。
うんざりした顔をして見せるものの、お母さんはガミガミ言うのを止めようとしない。
あーだこうだ言って“だから言わんこっちゃない”っていつものお得意な顔になっていた。
普段なら言い返すところだけど、今回ばかりは入院するハメになったこともあって頭が上がらない。
「母さん、こんな時に説教はないだろ。莉乃だって苦しんだんだから」
「お兄ちゃん!」
開いた病室のドアからひょっこり現れたお兄ちゃんは、苦笑いしながらお母さんをたしなめる。
「直哉(なおや)は莉乃の味方ばかりするんだから」
そう言いながらも、お母さんはお兄ちゃんに言われると大抵落ち着く。