また、キミに逢えたなら。
「夜にお父さんも来るって言ってたわよ」
「……うん」
その後も何かを言っていたお母さんの言葉は、右から左に抜けて頭の中に残らなかった。
今まで生きて来た中で、まだ誰かの“死”に直面したことがない。
おばあちゃんやおじいちゃんは両親共に健在だし、親戚の叔父さんや叔母さんもみんなピンピンしてる。
それって幸せなことだったんだ……。
いることが当たり前過ぎて考えたこともなかった。
“死”とは無縁の世界で生きて来た私にとって、シロー君がいる“現実”の苦しみや悲しみを理解するのは難しい。
これまでどんな思いで……生きて来たの?