TIME〜君と出会えた奇跡〜
「…でねー今時の自己紹介って苗字言わないし『よろしく』って言わないの?」
華瑠はキャラメルスムージーを飲みながら答える。
「えー?ゆうでしょぉー!」
「やっぱそーだよね!?ね?」
「誰がゆってなかったの?」
「柚輝」
「あーね」
あたしは、キャラメルミルクティーを飲みながら考えた。
そういえば、苗字言ってる人あんまりいなかったな…。
「華瑠はゆった?苗字」
「ゆったよーっ?だって、ゆわないとわかってもらえないじゃん!」
「だよねー」
うーん、考えものだなぁー…
「律那ー…飲み終わったぁ」
そう言いながら華瑠は、空の容器をペコペコして遊んでる。
急がなきゃ。
「あたしも飲み終わったよー。行く?」
「どこ行こっか?やっぱプリだよねー」
「うん!」
あたし達は、駅に向かって歩き出した。
「ピロンッ♪」
「あ、LINEきた」
誰だろう?
「あーっ、柚輝じゃん!」
あたしが開いたスマホの画面を、あたしより早く華瑠がのぞき込む。
「柚輝からなんて珍しい。なんてきてるんだろ…」
『自己紹介緊張しすぎww』
「うぅ…うるさいなぁ!」
「なんてきてたの?」
ほら、とあたしは画面を見せた。
「ピロンッ♪」
「あ、またきたよ。森原らしいけど、だってー!」
また余計な…。
「もぉしまっとこ」
「え?既読無視!?可哀想だよ、返事しなよ」
「えぇ〜なんて返事すればいいの?」
「思ったことをずばぁと。」
んじゃぁ…
『うるさいなぁ!そっちこそ苗字も よろしく も言わなかったくせに!』
可愛げないけど…まぁいいや。
柚輝なんか好きになったりしないし。
そのときは本気でそう思っていました。
5月___自分から告白するとも知らずに。