君の隣に愛がある

忘れること





「はー……」

あたしは受験表を胸に押し当てて駅から第一希望で受験した東高校へ坂を登る。
みきもついてきてくれると言ったけれど、断った。
落ちていた時に反応に困るだろうと思ったから。
門が見えた。もうすでにあいているようだった。あたしは時計を確認する。
時刻は14時5分過ぎ。発表開始は14時。
物凄く声が聞こえる。喜ぶ叫び声や、やったーという声。そして小声で泣きながら坂を下ってくる大勢の生徒。
門に着き、門をくぐる。
合格者の番号が書いてある看板はすごい人だかりだ。
少しずつ生徒が減ってくる。
少しずつ前へ進む。何度も見た受験表をもう一度見る。
あたしの番号は『1644』。



1632 1638 1639 16…
人でまだ見えない。
16… 1642…1644


受かった…
全身になにかが走って、鳥肌がたった。




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