空色恋愛。【完】
「じゃあ、俺、大雅迎えに行ってくるよ」
「あぁ、うん!またね!」
私の心臓がいつもの倍くらいの早さで動いている気がした。
「侑夏」
_____あ…
橙也の声が私の頭の中でした。
橘くんに一瞬揺れることができたような気がした。
「なんで橙也なのかな…」
「あ、侑夏!これやるよ」
「うわー…きれい!」
橘くんは振り返って私に何かを渡した。
ガラスの破片が海で流されて尖った部分がなくなり綺麗な色をした石のようになったものだった。
「また夏休み明けにな!」
恋をしたいと思った。
一目惚れというものか。
裕介や晴人には思ったことのない気持ちだ。
「私も橙也以外の人を好きになりたいな…」
19歳の夏はまだ始まったばかりだった。