空色恋愛。【完】
「…こんなの…。
こんなの反則だよ…。」
私はピアスを握り泣き崩れた。
私の好きな物を知っててくれて、
誕生日も覚えててくれて。
もう私は十分だった。
「侑夏のピアス、それシャネルのだよな?
ごめんな、俺はこんなんで…」
「…ううん。こんなんじゃない。
ありがと。」
私は橘くんにもらったピアスを一旦外し、橙也からもらったピアスをつけた。
「どう?…可愛い?」
私は涙でぐちゃぐちゃになった顔を必死に笑顔へと変えた。
「あぁ、似合ってるよ。かわいい」
「…ばか。」
愛してた。
大好きだった。
もう遅いんだよ。
「…橙也?」
「ん?」
「もう私達、会うのやめよう。」
橙也は一粒の涙をこぼした。
「もう、戻れないんだよ。
また会ってもお互い辛いだけだよ?
これからは友達として、
ずっと仲良くして?」
「……。」
橙也は小さな声で
無理だよ。と言った気がした。
かすれた橙也の声は
私には聞き取れなかった。
「……橙也?
さよならだよ。」
「…やだ。」
「私達が出会えたことはきっと
私にとっても橙也にとってもプラスのことだったと思う。
私は橙也に出会えたことでたくさんのことを学べた
幸せだったよ。
私達はきっと、
やり直してもまえと変わらないんだよ?
やり直しても別れるだけなんだよ。
辛いのは今だけだよ…。
私だって…
私だってほんとは…。
橙也は彼女とちゃんと向き合って?
私は橘くんと向き合うから。」