赤い海



あたしの家族は・・・あたしの家は・・・

血で染まった。



寂しかったんだ。
怖かったんだ。
痛かったんだ。




父親は酒癖が悪くていつもあたしと母親を殴っていた。

あたしは生まれたときからだったからどこの家もそうかと思っていた。
珍しいことじゃないって。


父はいつも言っていた。
「悪いことをしたやつに怒って何の問題があるんだ」


あたしは小さいながらも「確かに」って思ってた。



あたしは毎日殴られて顔の形が変わったんじゃないか。ってくらい殴られる。


ぬくもりを知らないあたしは、ぬくもりっという意味さえ知らなかった。


いつも傷だらけで学校に行くあたしを誰も気に留めない。
面倒事は避けたいんだろう。
そう思って、べつに恨んだりしなかった。






「桜木さん。」
透き通るような声が誰もいない廊下に響く。


「はい」


「あなたいつも怪我してるわね。」

「・・・・。」


「お家の方ってどんな方?」




「家族です・・・。」




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