あいつとわたし




「け…圭人がぁ

私の知らないところで他の女の人と付き合っててっ

私、そんなこと全然気付かなくてっ」



「お前みたいな女本気なわけねぇじゃん
だってさ。私! そんなにヒドかったのかなぁ!!
これでも頑張ってるつもりだったのにっ!!」


ぽろっと涙を零すじゃなくボロボロとこぼれだした。


「…だいたいわかった。
とりあえずそんなポンコツ野郎のことは忘れろ。
そして寝ろ。

お前が寝るまで俺がここに居てやるよ。」


口角をにっとあげて優しく笑う今井

くそぉ。
なんでこんな時に気持ち悪いくらい優しいんだよ、こいつは


「眠たくなくても目ぇ閉じてろ。」


そう言われて目を閉じる。

けどその瞬間真っ暗な世界になんともいえない喪失感を覚えた。


「今井…手…貸して
今だけでいいから。」


ボロボロ泣きながらそういう私に


仕方ねぇな


っと小声でこぼして私の手をギュッとにぎった。




あったかい。
こいつ高体温なのかな。

それとも熱が上がって寒いって感じてるからあったかく感じるのかな。



あったかい手を両手で包み込み、私は目を閉じた。




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