あいつとわたし
「お前一回止まれ。」
今井に肩を叩き、そう言われた時なんのことかわからなかった。
「お前、寝てるか?」
「寝てなかったら仕事もできないよ。」
そう笑った笑顔を見てさらに今井は顔をかしめた。
ちょっとこい。
そういう意味なんだろう。
腕を掴まれてひきづられた先は医務室。
「ちょ。今井。私、今急ぎのやつ持っててあんたの手当てとかしてあげられる時間ない…」
「ちげーよ。お前。お前がここに用があんの。」
呆気にとられた顔をしてただろう。
ぼけっとしてた私を軽々と持ち上げた今井。
「え。ちょっと待って今井。」
ジタバタ動く私に何を言わずベットにそっと下ろす。
「すいません。体温計貸してもらえますか?」
ありがとうございます。とお礼をいい、私の方に振り向き
はかれ
と言わんばかしの視線を送りつけてくる。
「いや。熱なんてない。」
「いいから測れ。それとも俺にやって欲しいか?」
いやいやいや。
しぶしぶ今井の手から体温計をとり、脇に挟む。
ぼーーっとしてるうちにピピっと電子音がなった。
「うっそ。」
「ほーらみてみろ。38.2度。
自分の体調が良くねぇことぐらい自分で分かれよな。」