足首の長い髪
先生の可愛らしい車が 玉砂利の地面を ジャリジャリと音をたて、
後方確認をしながら、神社の駐車場の、空いているスペースへと車を納める。
「今日は人が多いのね・・珍しい。こんなっ こんなややこしい場所しか
空いてないなんて」
先生は 後ろを向きながら愚痴っている。

神社の奥から 袖をまくしあげた、30歳くらいの男性が駆け寄ってきた。
「美智子ちゃーん 久しぶり!」
(美智子ちゃん??)
皐月がキョロキョロと辺りをうかがっていると、
「鉄平! 相変わらず 私が来るのが良くわかるわね」
エンジンを切って振り向く先生が 嬉しそうに返事をした。

(そうか、先生は美智子ちゃんなんだ・・ で、幼馴染の彼が鉄平くん?
なんか・・先生って・・・ かわいいな)
一人でニヤニヤしていると、

「この子は?」
鉄平くんが 皐月を見つけて指をさした。
ちょうど皐月の左足首の方向に。

「うん、 又、訳ありでさ」
眉間にシワを作って、申し訳なさそうに笑う先生。

「まぁ、こっちへおいでよ」

二人は寺の裏にある、寮のような所へ案内された。
どうやら、鉄平くんの寝泊りしている、部屋のようだった。

「相変わらず、綺麗にしてるわね」
「男所帯とは思えないだろ?」
そう言いながら、白い木綿カバーの座布団を配る鉄平くん。

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