足首の長い髪
皐月は プールに飛び込んだ後の事を思い出そうとしていた、

そう、この後・・・・

ゆっくりと下を見下ろすと・・・


髪の長い、 怒りと妬みが織り交ざったような形相で水の底から皐月目掛けて
上がってくる女性が見えた。

「嫌っ・・・ 」

慌てて水面へと 泳ぎ始める皐月。
どちらが水面かもわからないが、 とにかくあの女の居る方角と真逆の方へと
腕をかいて上へ上へ・・・ 上がろうとしていた。

女の声が聞える。
さっきの男の子の声も・・・

「あげない・・・ 彼は・・・誰にも・・・」
「もう・・・もうやめてあげて」
「あの子を庇うの? そんなに・・・・あの子が大事なの?」
「違うっ 僕は・・・」
「うっ・・・うっ・・・・ゆるさない・・・・」

髪の長い女のスピードが上がった。
もう少しで追いつかれる

そう思った時、
プールの中が急に明るくなって、 プールの底のラインまでもが
皐月の目にくっきりと見えていた。

「何?」
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