意地悪のっぽと強気ちび
「あれ、小松さんだ。どうしたの?」
「向田くん………」
俺は図書館で勉強してたんだけど……夏と何かあった?
こてり、首を傾け、と心配そうな顔をした向田くん。
その優しげな表情は本当にマリア様みたいで、私はつい言葉を漏らしてしまっていた。
「………なんで結城くんは私だけにあんなに冷たいのかな。私に優しくとか、してくれないのかな」
初めて口に出した本音に、何故だか同時に涙もこぼれる。
「………あいつも不器用な所あるから」
向田くんは、そう言って苦笑した。