強引上司のターゲット
「いつからそちらに?」
あたしが口を開くより早く新庄さんがズバッと聞いた。
「ご飯、行くんだ?」
な、なに!?冷やかさないでよ。
第一行くなんてまだ言ってない!
しかも何その笑顔!?
目がなくなるほどの爽やかな笑顔で聞いてくるところが、人をムカつかせる天才だ。
「いくら上司だからって、社員のプライベートなことまで口を出すのはどうかと思いますが。」
お、おう。そうだそうだ。
さすがに今回は、新庄さんの感情のこもらない言葉が味方だ!
「だってここ会社だから聞こえちゃうじゃん?聞かれていいからここで話してるんでしょう?」
うっわー…だってって。
すごいわ。逆にすごい。そんな風に言い切っちゃうなんて。
「それより、もう終わったんでしょ?じゃあ、この人もらってくから。」
え?え?えええ?!!
「あちょっ!か、課長!まだっ、シャットダウンが!」
もー?!ホントなにこの人??!
もらって行くなんて言ったかと思えば、あたしの腕を掴んでグイグイ引っ張って行く。
しかもこんな時にもシャットダウンの事しか言えないあたし。
「だって。宜しく!」
呆気に取られる新庄さんを置いて、課長はあたしを連れて行く。