強引上司のターゲット
後ろからトボトボ着いて行くあたしを時々振り返りながら、間隔がこれ以上開かないようにゆっくり歩いている。


こんなに強引な人なのに、あたしの速さに合わせるなんて。
優しい面もあるんだなー
って!違うじゃん!
ちゃんと言わなきゃ、迷惑だって。


「あのっ、課長。」


「何?」


くっ。本気で何?って顔してる。


「何なんですか?今朝から。何でこんなことするんですか?」


すると、何が?とでも言うように、訝しげに眉を寄せて、ん?と首を斜めに傾けた。

あたしがどれだけの勇気を振り絞ってこんなこと言ってるのか分からないのか?!でも、ここで引くわけにはいかない。


「だっ、だから、今朝もあたしに案内させたり、い、今だって、強引に引っ張って来るし…、何が目的なんですか?」


よし!頑張った!あたし頑張った!
さぁ言ってみなさいよ。
ちゃんとした理由があるなら言ってみなさいよっ!


意気込んだ顔で返事を待っていると


「瑞花の為だろ?」


そう言ってのけた。
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