強引上司のターゲット
わ…すごっ。

歩く姿だけでもスタイルの良さがよく分かる。
隣にいるのが部長でなくても、このスタイルは注目の的だろう。


「はいっ!じゃあ紹介しますね〜」


いつものスローペースで部長が定位置に着いた時、正面を向いた課長の容姿にフロアのほとんどが圧倒された。


イケメン美人…

この言葉がパズルのようにピッタリとハマった。
そのスタイルに負けず劣らず、シャープな輪郭に、薄い唇、筋の通った鼻。
意外なのは少し幼さを残したパッチリ二重と、ここからでも分かる程長いまつ毛。細くて色素の薄い髪は、長めにカットしてある。
長い前髪で眉毛が隠れ気味なせいか、印象はとても柔らかい。


「営業課長としてニューヨーク支社から来ました。アメリカ生活の方が長いですが、日本には時々来ていたので二年ぶりです。」


これじゃあしばらくは大変だろうなぁと、今後の課長のモテっぷりを他人事のように考えていた。


「宜しくお願いします。」


いつの間にか終わった挨拶に意識を戻すと、その直後の出来事に頭の中が?でいっぱいになる。
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