強引上司のターゲット
…挨拶じゃないキス。


きっと顔の赤いあたしはその言葉の意味を必死に考えるけど、目の前にいる人は動揺もせずモグモグしている。


だいたい、チャラ過ぎるでしょ!?
目が合えば笑うし、呼び捨てにするし、キ、キスとかするしっ。
おでこにだけど。

でも…逆にその方が気障じゃない?!

思い出しては赤面する。
この赤面症のせいで小さい頃から恥ずかしい思いをしてきた。


あ!
チャラいからだ?!
チャラいだけでしょ!?

あたし、乗せられたりしない!
そんなに軽い女じゃない!




「ねぇ。何考えてるのか知らないけど、もう忘れなよ。」


突然話し出した課長は、何を?と聞き返さなくても続きを言うつもりだったらしい。


「昨日の。前の彼氏?忘れなよ。」


やっぱり昨日、見られてたんだ。
だけど。
そんな簡単にいかないから昨日だって…。


「あ、あたしだって…!」
引きずりたいわけじゃない。

「大丈夫!受け入れればすぐ忘れる。」

「はい?」
受けいける?何を?

「さっ、送って行くよ!」

「ぅはい?!」

「その服じゃ出られないでしょ?」

い、いやまぁそうだけど
「着替えるので大丈」

「服ならクリーニングに出しちゃった」

「っはいっ??!」

「ミルク零してたくせに」

いやまぁそれは気付いてたけど、クリーニング?いつの間に?!

「はいはい食器下げて〜」

「………はぃ」


はぁー…
何も言い返せない。
やっぱりこの人といると調子狂う。
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